知っておきたい!長期にわたり控除が受かられる『住宅借入金等特別控除』

豆知識

2020.06.01

住宅借入金等特別控除

今回は『住宅借入金等特別控除』について紹介します。要件に該当すれば長期にわたり控除を受けられる制度なので、不動産購入者はぜひ活用していただきたいです。

1. 概要

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築・取得または増改築等(以下「取得等」)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合に適用されます。一定の要件を満たせば、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等をもととして計算した金額が、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除されます。

2. 住宅借入金等特別控除の適用要件

個人が住宅を新築または建築後使用されたことのない住宅を取得した場合で、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次の(1)~(5)全ての要件を満たすときです。

(注1) 平成28 年3 月31 日以前の家屋の新築や購入または増改築等について、居住者以外の方は住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

(注2) 贈与による取得、または取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得は、この特別控除の適用はありません。

(1) 新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。

(注) その個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること。

なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合、控除の適用対象は主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。

(2) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること。

(3) 新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。

なお、この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。

① 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。

② マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。

③ 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。

④ 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。

ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。

(4) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます)があること。

一定の借入金または債務とは、例えば銀行等の金融機関などに対する債務のことを指します。ただし、勤務先からの借入金の場合には、無利子または0.2%(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)に満たない利率による借入金はこの特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金は全て、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。

(5) 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法

住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額をもとに、居住の用に供した年分の計算方法により算出します(100円未満の端数金額は切り捨てます)。

ただし年末残高の合計額については、住宅の取得等の対価の額または費用の額(注1,2)が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ない場合、その取得等の対価の額または費用の額(以下「年末残高等」)となります。

(注1) 住宅の取得等に関し、補助金等(国または地方公共団体から交付される補助金または給付金その他これらに準ずるものをいいます。以下同じです。)の交付を受ける場合(平成23年6月30日以後に住宅の取得等に係る契約を締結する場合に限ります。以下同じです。)には、その補助金等の額を控除します。

(注2) 住宅の取得等に際して住宅取得等資金の贈与を受け、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」(措法70の2)または「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」(措法70の3)(以下、併せて「住宅取得等資金の贈与の特例」といいます。)を適用した場合には、その適用を受けた住宅取得等資金の額を控除します。

居住の用に供した年 控除

期間

各年の控除額の計算 (控除限度額)
平成19年1月1日から平成19年12月31日まで 15年 1~10年目

年末残高等×0.6%

(15万円)

11~15年目

年末残高等×0.4%

(10万円)

平成20年1月1日から平成20年12月31日まで 15年 1~10年目

年末残高等×0.6%

(12万円)

11~15年目

年末残高等×0.4%

(8万円)

平成21年1月1日から平成22年12月31日まで 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(50万円)

平成23年1月1日から平成23年12月31日まで 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

平成24年1月1日から平成24年12月31日まで 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(30万円)

平成25年1月1日から平成25年12月31日まで 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(20万円)

平成26年1月1日から令和元年9月30日まで 10年            1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円

令和元年10月1日から令和2年12月31日まで 13年 [住宅の取得等が特別特定取得に該当する場合]

【1~10年目】

年末残高等×1%

(40万円)

 

【11~13年目】

次のいずれか少ない額が控除限度額

丸1年末残高等〔上限4,000万円〕×1%

丸2(住宅取得等対価の額-消費税額〔上限4,000万円〕)×2%÷3

(注) 「住宅取得等対価の額」は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額をいいます。

10年 [上記以外の場合]

1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円

令和3年1月1日から令和3年12月31日まで 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円

※1 この表は、令和元年分以後の確定申告において適用が受けられるもののみを掲載しています。

※2 「特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額をいいます。以下同じです。)が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいい、「特別特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。以下同じです。

国税庁HPより引用

https://www.nta.go.jp/

4 認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例

以下①②いずれかの認定住宅の新築または建築後使用されたことのない認定住宅の取得(以下「認定住宅の新築等」)をした方は、「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」に該当する可能性があります。

  • 認定長期優良住宅(長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋)
  • 認定低炭素住宅(都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋または同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋)

※①と②を併せて「認定住宅」といいます。

上記認定住宅の新築等を行い、平成21年6月4日(低炭素構築物に該当する家屋については平成24年12月4日、低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋については平成25年6月1日)から令和3年12月31日までの間に、自己の居住の用に供し上記2の適用要件を満たしている方は、その居住の用に供した年以後各年分の所得税の額から、次により計算した住宅借入金等特別控除額の控除(「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」)を受けることができます。

居住の用に供した年 控除

期間

各年の控除額の計算 (控除限度額)
平成19年1月1日~平成19年12月31日 15年 1~10年目

年末残高等×0.6%

(15万円)

11~15年目

年末残高等×0.4%

(10万円)

平成20年1月1日~平成20年12月31日 15年 1~10年目

年末残高等×0.6%

(12万円)

11~15年目

年末残高等×0.4%

(8万円)

平成21年1月1日~平成22年12月31日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(50万円)

平成23年1月1日~平成23年12月31日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

平成24年1月1日~平成24年12月31日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(30万円)

平成25年1月1日~平成25年12月31日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(20万円)

平成26年1月1日~令和元年9月30日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円

令和元年10月1日~令和2年12月31日 13年 住宅の取得等が特別特定取得に該当する場合]

【1~10年目】

年末残高等×1%

(40万円)

【11~13年目】

次のいずれか少ない額が控除限度額

丸1年末残高等〔上限4,000万円〕×1%

丸2(住宅取得等対価の額-消費税額〔上限4,000万円〕)×2%÷3

(注) 「住宅取得等対価の額」は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額をいいます。

10年 [上記以外の場合]

1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万

令和3年1月1日~令和3年12月31日 10年 1~10年目

年末残高等×1%

(40万円)

(注) 住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円

(注) 認定住宅の新築等について認定住宅新築等特別税額控除(コード1221)の適用を受ける場合には、その認定住宅の新築等について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

国税庁HPより引用

https://www.nta.go.jp/

5 住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続

住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続は、控除を受ける最初の年分と2年目以後の年分とで異なります。

<控除を受ける最初の年分の手続>

控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した『確定申告書』に、次に掲げる区分に応じてそれぞれ書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要があります。

なおこの控除は給与所得が適用を受ける場合でも、初年度は確定申告をする必要がありますので注意してください。

<控除を受ける2年目以降の手続>

控除を受ける2年目以後の年分は、必要事項を記載した確定申告書に次の(1)のイの「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(付表が必要な場合は付表を含みます)のほか、次の(1)のロの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書)を添付して提出すればよいことになっています。

給与所得者は、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。この場合、税務署から送付される以下3つの書類を勤務先に提出する必要があります。

・年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

(1) 敷地の取得に係る住宅借入金等がない場合

① 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」

② 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書)

③ 家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し、売買契約書の写し等(※)で次のことを明らかにする書類

◆ 家屋の新築または取得年月日

◆ 家屋の取得対価の額

◆ 家屋の床面積が50平方メートル以上であること。

◆ 家屋の取得等が特定取得または特別特定取得に該当する場合には、その該当する事実(平成

26年分以後の居住分に限ります)

※ 住宅の取得等に関し補助金等の交付を受けているときは、補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けているときは、住宅取得等資金の額を証する書類の写しも添付してください。

(2) 敷地の取得に係る住宅借入金等がある場合

上記(1)で掲げた書類に加え、次の書類が必要です。

① 敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し等で敷地の取得年月日及び取得対価の額を明らかにする書類

※ 住宅の敷地の取得に関し補助金等の交付を受けているときは、交付を受けている補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けているときは、その特例に係る住宅取得等資金の額を証する書類の写しも添付してください。

② 敷地の購入に係る住宅借入金等が次のAからCまでのいずれかに該当するときは、それぞれに掲げる書類

A. 家屋の新築の日前2年以内に購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等であるとき 次のaまたはbの別に応じてそれぞれに掲げる書類

a. 金融機関、地方公共団体または貸金業者からの借入金 家屋の登記事項証明書などで、家屋に一定の抵当権が設定されていることを明らかにする書類(上記(1)のハの書類により明らかにされている場合は不要です)

b. 上記以外の借入金(No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等の4(10)ロ、ハに掲げる者からの借入金) 家屋の登記事項証明書などで、家屋に一定の抵当権が設定されていることを明らかにする書類(上記(1)のハの書類により明らかにされている場合は不要です)または貸付けもしくは譲渡の条件に従って一定期間内に家屋が建築されたことをその貸付けをした者もしくはその譲渡の対価に係る債権を有する者が確認した旨を証する書類

B. 家屋の新築の日前に3か月以内の建築条件付きで購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等であるとき 敷地の分譲に係る契約書の写しなどで、契約において3か月以内の建築条件が定められていることなどを明らかにする書類(イの書類で明らかにされている場合は不要です)

C. 家屋の新築の日前に一定期間内の建築条件付きで購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等であるとき 敷地の分譲に係る契約書の写しなどで、契約において一定期間内の建築条件が定められていることなどを明らかにする書類(イの書類で明らかにされている場合は不要です)

(3) 認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例を適用する場合

上記(1)または(2)に該当する場合の書類に加え、次の区分に応じたそれぞれの書類が必要です。

① 認定長期優良住宅

A その家屋に係る長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し

なお、長期優良住宅建築等計画の変更の認定を受けた場合は変更認定通知書の写し、認定計画実施者の地位の承継があった場合には認定通知書及び地位の承継の承認通知書の写し

B 住宅用家屋証明書もしくはその写しまたは認定長期優良住宅建築証明書

② 低炭素建築物

A.その家屋に係る低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写し

なお、低炭素建築物新築等計画の変更の認定を受けた場合は低炭素建築物新築等計画変更認定通知書の写しが必要です。

B. 住宅用家屋証明書もしくはその写しまたは認定低炭素住宅建築証明書

③ 低炭素建築物とみなされる特定建築物

A.特定建築物用の住宅用家屋証明書

(注) 給与所得のある方について、平成31年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。ただし、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署等へお越しになる際には忘れずにお持ちください。

最後に

住宅借入金等特別控除は初年度に煩わしい確定申告をする必要がありますが、それを行うことでその後長期間にわたり控除を受けることができます。ぜひ制度を確認し、積極的に活用してください。

《この記事は2019年度改正をまでをベースに作成しております。》

記事の監修

辻国際税理士事務所

税理士 辻登志雄

管理会計、国際税務、不動産の税務、医療の税務に特化。その他コンサルティングとしてアジア海外事業を展開。

<主な実績>

東証一部上場企業国際税務
ジャスダック上場企業連結納税
中堅企業法人税務全般
東証一部上場企業海外コンサルティング
管理会計コンサルティング
中国コンサルティング

share facebook twitter line
pagetop