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2021.11.18
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お店紹介
2020.01.23
マンション購入後、部屋にあわせて新しく購入することも多い家具。
家具は、私たちの暮らしをより心地よいものにし、一緒に思い出を刻んでくれる大切な存在です。
今回は、そんな家具の製造・販売をしているCONDE HOUSE(カンディハウス)社の東京ショップに取材に行きました。
北海道の旭川市に本社・工場を持つCONDE HOUSE(カンディハウス)は、全国各地の販売店だけでなく海外販売契約会社も多く持つ、世界中で愛されているブランドです。
“できる限り北海道の木を使い、一本一本を生かしきって、長く使えるよりよい生活の道具をつくる”をコンセプトに、丁寧なものづくりをしています。
素材・技術へのこだわりだけでなく、国内外の著名デザイナーの洗練されたデザインも魅力のひとつです。
取材では、営業本部 コントラクト事業部統括の町山取締役 から直接、家具づくりに対する熱い思いを伺うことができました。
こだわりの家具づくりで多くのファンを持つ「CONDE HOUSE(カンディハウス)」。
戦後の経済成長期がはじまる1963(昭和38)年、創業者の長原氏が28歳の時に、ものづくりの研修のため、ドイツを訪問した事が創業のきっかけになりました。
留学中に各国を巡り、オランダを訪れた際に「OTARU」と書かれたナラ材を見つけた長原氏。デンマークでも北海道産のナラ材を目にしたそうです。
ふるさとである北海道のナラ材がヨーロッパ家具の原料になっている、さらには加工されて、非常な高値で日本にも輸出されているという現実に疑問と憤りを感じ、「自らの手でナラ材の家具を作り、世界に売ってやる」という気持ちが生まれました。
そして、世界で戦っていくにあたって社名は重要だと考え、当時のアメリカのデザインチームと考えたのが「CONDE HOUSE(カンディハウス)」という名前です。
社名には何かしら意味を持たせることが多いのですが、長原氏はあえて意味を持たせたくないと考えました。
意味があると各国それぞれの言語で、その言葉の印象で覚えられてしまうためです。
このため、世界で通用するようにという思いで「CONDE」という造語をつくり、勝負に出ました。
そして、ブランドの顔であるロゴは、日本古来の色である朱を地色にし、無色透明感の文字を使うことで、世界で勝負する日本メーカーとしての強い印象付けを行いました。
この「CONDE HOUSE」というブランド名確立により、CONDE HOUSE のCI(Corporate Identity)は顧客に認知され、絶大なる効果を表しました。
世界最大の建築事務所「ゲンスラーアンドアソシエイツ」との取引に成功し、「アップルコンピュータ」「スタンフォード大学」「ディズニー」などの大口取引にも成功したのです。『それまで見向きもされなかったわずか数人の小さな会社が、ロゴを全面に出した途端にマーケットが動く。』
まさに世界で通用するロゴとして「CONDE HOUSE」は際立ったものであるという証明でした。
また、世界に発信するカンディハウス|CONDE HOUSEでは、自然を敬い、人を思う、日本の精神性である「和の美意識」も大切にしています。
そのコンセプトを最も表現している商品がこちらの「ハカマ」です。
「ハカマ」と聞くと、日本の文化をイメージされると思います。
ですが、実はこの商品をデザインしたのはドイツ人デザイナーのペーター・マリー氏という方なのです。
ペーター・マリー氏とカンディハウスとの家具製作の過程で、2011年3月11日の東日本大震災が起こりました。そこで、ペーター・マリー氏は被災地の復興を祈る思いから、和服の「袴」をイメージしたデザインを提案したのだそう。
その名の通り、武士の袴姿から発想された凛とした力強いデザインが特徴的です。脚部は袴の折り目をイメージした美しい波模様になっていて、末広がりの形状を自然に表現しています。この波模様は長原氏のアイディアです。
ペーター・マリー氏のイメージとも一致し、双方で納得しあって商品化となりました。
ヨーロッパ文化と日本文化の融合、「東西」を融合させたデザインとなったのです。
さらに、国産材を使用し、国内で製造するというのも「和の美意識」です。
CONDE HOUSEは「日本を大事にし世界で挑戦する」という考えのもと、海外にない日本の良さを家具を通じて表現したいという強い想いを持っています。
カンディハウス|CONDE HOUSEの製品は環境への取り組みで合板・接着剤・塗料に配慮されています。
建築において、シックハウス症候群やシックスクール症候群など、VOC(揮発性有機化合物)の人体への影響が大きな社会問題になり、国はさまざまな法律や基準を設けています。
家具はそれらを代表する改正建築基準法(平成15年施行)の規制対象ではありませんが、建築も家具も基準は一緒であり、基準に満たす材料で家具を作りたいとの思いから、CONDE HOUSEは「フォースター」という基準を家具業界で一早く取り入れました。
「Volatile Organic Compounds」の頭文字で、建材や塗料などから室内に放散する化学物質を指します。厚生労働省はホルムアルデヒドのほかトルエン、キシレンなど危険性の高い13種類の化学物質を指定し濃度指針値を設けています。
F☆☆☆☆(フォースター)の合板
合板などの建材はホルムアルデヒドの放散速度により4段階に分かれており、それによって使用面積が制限されます。カンディハウスはもっとも放散量の少ない「F☆☆☆☆」の合板のみを使用しています。
F☆☆☆☆(フォースター)の接着剤
接着剤はJAIA(日本接着剤工業会)で「JAIA F☆☆☆☆」と認定された製品を採用しています。
また、CONDE HOUSEの目標として、森が育つスピードに合わせた家具づくりの実現があります。長く使える素材と構造、デザインを追求することはもちろん、修理・再生のできるシステムも必要だと考え、レストアというサービスも立ち上げました。
レストアとは、使っていくうちに生じた木部の傷や塗装の剥がれ、色褪せ、また椅子張地の擦り切れやソファーの弾力低下などを修理するサービスです。
一部の家具は使い捨てのようになってきているが、良い家具は桐タンスのように受け継がれていくものだ、と話す町山取締役。
大切な資源である木を切って作っている家具なので、一度購入したら何十年も使ってほしいという願いも込められています。
女性職人の登用もCONDE HOUSE社の大きな特徴のうちの一つです。
CONDE HOUSE社の女性職人は、2013年7⽉の第42回 技能五輪国際⼤会(ライプツィヒ)家具部⾨に⽇本代表初の⼥性選⼿として出場し、また2015年8⽉の第43回 技能五輪国際⼤会(サンパウロ)建具部⾨では⼥性で世界初となる「敢闘賞」を受賞しました。
このように女性が活躍するCONDE HOUSE社ですが、⼥性の働き⽅についての考えや取り組みについて、町山取締役に聞きました。
「製造業は女性雇用が最も遅れている」と語る町山取締役。
元々、家具販売ではスタッフ自らが、家具を納品する業務があり、男性雇用がメインでした。
しかし一方で、結婚してからの生活経験を経て、インテリアを考えることが出来る女性の視点こそ重要だと感じました。
そこで、女性が出産後も職場に戻れる環境をつくりたいという考えのもと、家具業界では、いち早く産休育休制度を取り入れたのが「CONDE HOUSE」社です。
町山取締役がマネージャーの時には、営業職でも女性が他社に先がけ活躍していました。
現在、全社員285名のうち83名が女性(営業職では女性が約5割)となっており、そのうちの32%程が結婚されているそうです。 「時間の制約等で営業職は大変なのでは?」という問いに対して、子供のいる女性社員は、時間を有効的に使い、かえって密度の濃い仕事をしてくれている印象があるということです。
今回訪問した東京ショップでもたくさんの女性スタッフが接客対応しており、働きやすい環境という印象を受けました。
町山取締役が今目指しているのは女性管理職がもっと増えることです。
参考文献:100年に一人の椅子職人 長原實とカンディハウスのデザイン・スピリッツ(編者:川嶋康男)
CONDE HOUSEはより高品質なデザインを生かす家具メーカーとして、世界的に活躍する一流デザイナーとタイアップしイノベーションを発揮し、例えば強度とデザイン性のせめぎ合いを通じ、デザインのレベルアップやものづくりの技術レベルの向上に取り組んできました。
これは創業者である長原氏が、海外研修期間を通じてヨーロッパ各地を巡り歩き、「バウハウス・イズム」に共鳴して、高度な産業社会と豊かな地方文化が複合する都市を自らの目で見てきたためです。そしてこの体験こそが、旭川家具の歩むべき道筋でした。
一流デザイナーの中には、無印良品のデザインやau携帯インフォバーのデザインなどを手がけた深澤直人氏や2006年にNewsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出された佐藤オオキ氏などがいます。
1956年山梨県生まれ。1980年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。1989年渡米しデザインコンサルティング会社IDEO(サンフランシスコ)で8年勤務後帰国、IDEO東京支社を設立。2003年に独立しNaoto Fukasawa Design設立。「MUJI」CDプレーヤー、「±0」加湿器、「au/KDDI」INFOBAR、neonはN.Y.MOMA永久収蔵品に。B&B ITALIA、Driade、Magis、Artemide、Danese、Boffi、Vitraをはじめ、ドイツ、北欧など国内外の大手メーカーとのプロダクトを進行中。iF金賞(ドイツ)、red dot design award、D&AD賞(英国)、IDEA(米国)、毎日デザイン賞、Gマーク金賞、第5回織部賞など受賞歴は50を超える。
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。nendo東京オフィス設立。2005年nendoミラノオフィス設立。2006年Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出。2012年、世界最年少でデザイン界最高の栄誉と言われるEDIDAデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2004、2007、2011、2014年にグッドデザイン賞を受賞。など国内外での受賞多数。プロダクトのデザインを手掛けるほか、最近では事業や組織のデザインにも深く関与し、大企業のイノベーションを支援している。バカラ、エルメス、スターバックスなどの数々の一流会社を相手に建築からファッション、インテリアまでその活動は幅広い。米ニューヨーク近代美術館など世界の美術館に作品が収蔵されている。
ここで、お二人がデザインされたチェアーをご紹介します。
「シンプルだが実はとても難しい構造。掛け心地だけでなく引く、押す、持つ動作がしやすいなどいろいろな意味で完成度が高い」と深澤氏がおっしゃるこちらの商品。
丸棒で作られていて、シンプルですが洗練されたデザインです。脚が細いので空間が広く感じられます。シンプルにすればするほど、強度が課題となりますが、このKOTANはCONDE HOUSEの高い技術でその課題を乗り越え、強度とデザインを併せ持っている商品です。また、裏まで面取りされていて細部のこだわりを感じます。使わない時はスタッキングしておける、その姿も美しいです。(写真右下)
ネーミングの由来でもある「Split(裂ける、割れる)」のデザインモチーフが、リアルに表現されたコレクションです。流れるようなフォルムが特徴のこちらのアームチェアー。背からめくれるように裂けて、脚やアームになるデザインは、大部分が「半円柱」の部材となっていて全体に軽やかな印象を与えます。一本の木が裂けたようなデザインは表現するのがとても難しく、実際は2本の木を使って絶妙に表現されています。
座張と木座に加えてクッション性のある背座一体のシェルタイプも用意されており、腰から背中にかけてのフィット感がたまりません。アームチェアー(木座)は、2014年度グッドデザイン賞を受賞しています。
では、なぜ一流デザイナーがCONDE HOUSEと組みたがるのでしょうか。
それはCONDE HOUSEには、ものづくりの挑戦を重ねることで培われた、手作業とテクノロジーの高度な融合があるからです。工場では、木の板をなでては削る手の横で、最先端加工機が軽やかに舞っています。
そうした挑戦が、世界のデザイナーが「CONDE HOUSEとならできる」と期待する理由になっています。
また、3年に一度、「IFDA(旭川国際家具デザインコンペ)」というコンペを開催しています。世界各地のクリエイターたちが旭川の地に一同に集うことで、旭川家具産地におけるデザイン・マネジメントが展開され、人的交流や商談への発展など経済面において相互関係が深まることになりました。※参考「100年に1人の椅子職人」
コンペでは珍しく、1等は300万円の賞金がもらえるということもあり、アジアを含む世界各国からデザインが集まっているそうです。その中から、これから伸びそうなデザイナーの発掘もおこなっています。
先程紹介した深澤氏は、「家具に限らず、デザインコンペは『通るためのデザイン』をしてしまいがち。生活の中に入るものをつくるのが目的なのに、かつ戦略を考えとしてしまう傾向にある。」としながらも「IFDAの作品が世界に注目されるようになればいいと思う。」と期待を込めています。※参考「100年に1人の椅子職人」
さらにCONDE HOUSEでは、デザインだけを仕事にしていくことが難しい日本で、少しでもデザインで食べていけるようにと、デザインした家具が1個売れたらデザイナーにFeeを支払う「デザインFee」を採用しています。
お客様の付加価値として、日本の家具は素晴らしいなと思ってもらうため、これからはデザイン・高度な技術・機能を切磋琢磨していくことが大切だ、と考えているとのことです。
一番人気のこちらの商品。
WING LUX(ウイング ラックス)シリーズのチェアーには、背もたれ、高さ、アームの異なる種類がありますが、アームが短いこちらの商品が最も人気だそう。
一見、アームが短すぎるように見えますが、実際に座ってみると、しっかり腕にフィットして心地よく座れました。
アーム部には鉄のピンが入っていて、体重を受け止める強度を確保しています。
さらに、座面は外すことができるので、汚れても簡単に洗うことができます!季節や気分によって布地を変えるのも良いですね。
単体でもセットでも使える安楽性の高いリビングのアームチェアー。
「ハカマ」をデザインした、ペーター・マリー氏の作品です。
ヨーロッパの感性と日本古来の文化や技術などを併せ持つ、東西(tosai)の架け橋となるようなデザインの家具を作りたいと思って始めたシリーズです。
見た目のインパクトも大きいこちらのアームチェアーは何ともいえない曲線が素敵です。実際に座らせてもらうと、体全体をやさしく包み込んでくれました。
スペースが限られてしまうことが多いマンションのお部屋にもおすすめなのが、こちらのダイニングテーブル。
バタフライ式に収納された天板を、簡単な操作で広げられるエクステンションテーブルです。普段はそのまま使用し、来客があった時のみ広げるようにすると、空間を上手く利用できるので便利ですね。
樹種と塗装は数種類から選択可能です。シンプルなデザインなので、お好みの椅子と合わせることができますよ。
一つ一つの家具に対してデザイン・製作過程へのこだわりがあるCONDE HOUSE。これまでご紹介した家具は、ほんの一部です。
そんなCONDE HOUSEが培ってきた伝承技能や先端技術のうち、特に伝承製を重視した家具として、1997年に誕生した“一本技(いっぽんぎ)”というシリーズがあります。
丸太一本一本の小瀬をさらに引き出す方法で丁寧に製材し、数年の時間をかけてゆっくり乾燥させて作られています。職人は重さや色合い、木目を見て、何を作ろうかと考えるのだそう。まさに職人技です。
そんな木の表情、個性を活かしたものづくりにより、量産品とはまったく異なった、世界にたった一つしか存在しない一品(逸品)が生まれるのです。
一本技シリーズは現在も創業当初の旭川工房でつくられ、アメリカやドイツの海外拠点、アジアでも注目を集めています。
ファスト家具の台頭があり、使い捨てになる事も多いのが日本の家具業界の現状です。
しかし、CONDE HOUSEでは、「良い家具は桐ダンスのように長年受け継がれるものだ」と考えています。
低価格というのはもちろん魅力的ですが、機能性や安全性、品質などにさまざまな問題が起こってしまう可能性もあります。
また、貴重な木を切って家具を作っているので、購入したら何十年も使用して欲しい、という思いがあり、その思いがCONDE HOUSEのものづくりの原点になっています。
「家具は人の成長の歴史にある、だからこそ、買い替えずに直して使う。そういうお付き合いをお客様と一緒に歩んでいきたい。売るだけはでなく、売った後もお客様と長く付き合っていける企業にしていきたい。」と、町山取締役は語りました。
いかがでしたでしょうか?
素材、技術、デザインすべてにこだわり、一つ一つの家具を丁寧に作っている「CONDE HOUSE(カンディハウス)」。その創業ストーリーやこだわりのものづくりについて、3回にわたってお伝えしました。
人生のターニングポイントで購入することも多い家具。
私たちの暮らしをより心地よいものにし、一緒に思い出を刻んでくれる大切な存在です。
CONDE HOUSEでは、きっと、長い人生を共にしたいと思える家具に出会えるはずです。
気になった方は是非、足を運んでみてください。
参考文献:100年に一人の椅子職人 長原實とカンディハウスのデザイン・スピリッツ(編者:川嶋康男)
『CONDE HOUSE(カンディハウス) 東京ショップ』
HP:https://www.condehouse.co.jp/
ADDRESS:東京都港区南青山5-4-46 内田ビル1・2F
OPEN:AM 11:00-PM 6:30
CLOSE:Wednesday
MAIL:tokyo@condehouse.co.jp
最終更新日:2021年11月25日
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