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中古物件を探しているとき、「既存不適格物件」や「違反建築物」といった表現が気になった方も多いのではないでしょうか。
既存不適格物件は違反建築物と大きく異なり、決して法令に違反した建築物ではありません。
とはいえ、既存不適格物件の購入を検討している際にいくつか注意しなければならない点があるのもまた事実です。
今回の記事では、既存不適格物件の概要や違反建築物との違いについてお伝えしたあと、既存不適格物件を購入する際のメリット・デメリットについてまとめみました。
中古物件の購入を検討している方はぜひ、目を通してみてください。
「既存不適格物件」に含まれる「不適格」という単語から、なんとなくネガティブなイメージを抱いてしまった方も多いはず。
しかし、既存不適格物件は立派な合法建築物であり違法ではありません。
既存不適格物件とは、建築された当時の法令では合法であると判断されていた物件のことです。
その一方で、その後の法改正等により現時点で適用されている法令のもとでは不適格な部分があり、基準を満たしていない物件に該当します。
《建築基準法3条2項》
前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、適用しない。
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例を改正する法令による改正(この法律に基づく命令又は条例を廃止すると同時に新たにこれに相当する命令又は条例を制定することを含む。)後のこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用の際当該規定に相当する従前の規定に違反している建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
建築基準法 | e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201
上記を簡単に言うと、「すでに建築済みの物件が新たな法令が出た時点で基準を満たしていなかったとしても、違法とはならない」ということになります。
建築物を取り巻く法律や条令は技術の発展や社会的要請を背景に変化し、代表的なものとして「耐震基準」が挙げられるでしょう。
耐震基準はこれまでに何回か改正が行われていますが、その中でも特に大きな改正がなされたのが昭和56年(1981年)です。
そのため、耐震基準は昭和56年を境目として「新耐震基準」と「旧耐震基準」と呼称が変わっています。
建築物の中には1981年より前に建てられた物件も多く、現行の耐震基準のもとでは不適合である物件も含まれています。
このように、時の流れとともにいまの法令下で建てられた物件も「既存不適格物件」となり得る可能性は十分にあることから、既存不適格物件という言葉の並びだけで良し悪しを判断しないようにしましょう。
また、詳しくは後述しますが、既存不適格物件であるというだけで行政側から法律違反を指摘されることはありません。
既存不適格建築物と違反建築物の違いは、その建物が建築された時点で合法であったかどうかが判断の分かれ目となります。
前述したように、既存不適格物件は現在の法令下では基準を満たしていないものの、建築された当時の法令では何ら問題がありません。
それに対し、違反建築物は当該建物が建築された時点ですでに建築基準法や都市計画法および関係条例に定められた規定等に違反している建築物のことを指します。
違反建築物であると判断された場合、直接その建物に関わった建築主や工事施工者が責任を問われることはもちろん、敷地の所有者も例外ではありません。
そのため、違反建築物であることを知らずに物件を購入した買主も違反の是正対象となるので注意が必要です。
既存不適格物件とはなにかについて理解したところで、既存不適格物件であるとみなされるケースについて見ていきましょう。
ここでは主に以下、4つのケースを取り上げてみました。
都市計画法やその他の法令等により、建ぺい率が定められているものの、見直しによって要件に変更が生じることがあります。
建築時点では法令に即していても、その後の改正で建ぺい率が適合しなくなっている場合には既存不適格物件に該当します。
建ぺい率同様、建物の高さについても法令で定められており、法令によって内容が見直されることがあります。
そのため、変更後の条件に見合わない物件となった場合には既存不適格物件となるケースが考えられるでしょう。
建築基準法により、住宅などの建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と規定されていますが、古い規定では4mではなく2.7m以上あれば適法とみなされていました。
そのため、現在接している道路の幅員が規定に満たない場合には既存不適格物件となる可能性があります。
前述したように昭和56年(1981年)に施工された「新耐震基準」に適合しなくなった物件は既存不適格物件と扱われる可能性が高くなります。
既存不適格物件について、用途変更や増築をせず利用し続けることに対しては何も問題ありません。
ただし、建築基準法10条3項において以下のように定められています。
《建築基準法10条3項》
前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201
つまり、建物の劣化に伴い自然災害等に耐えうるだけの状態にないと判断されたり、倒壊した際に通行人などに被害が及んだりする可能性が高いと思われた場合には、なんらかの是正命令がなされる恐れがあります。
また、増築や建替えをするときは現在の法令に適合させなければなりません。(後述する一部制限緩和あり)
既存不適格物件に対し、増築や建替えをする場合には基本的には既存不適格であると判断された事項につき、新規定を適用しなければなりません。
しかし、場合によってはすべての項目を新規定に適用させることが難しいこともあるでしょう。
そこで、建築基準法86条7項では条件の緩和を定めています。
実際に2005年から一定条件下において緩和が行われたほか、耐震構造における緩和規定も2009年に改定されました。
既存不適格物件の増築や建替えを検討している場合には条件緩和が利用できるかどうか前もって確認しておくことをおすすめします。
《出所:一般社団法人 日本建築士事務所協会連合会》
既存不適格物件の最大のメリットは、「価格が安い」ことです。
既存不適格物件は増築や建替えをする際に現在の法令に適合するように注意しなければならないことに加え、再建築が不可能だといった制限があることから、資産価値は低い傾向にあります。
資産価値が低いことに伴い固定資産税評価額も下がることから、それらを元に算出される「固定資産税」や「都市計画税」、「相続税」といった税金も安くなるでしょう。
また、一部のケースでは再建築が認められていないものの、大幅なリフォームやリノベーションを施すことは認められています。
既存不適格物件にはメリットがある一方で、当然デメリットも存在します。
デメリットとして、既存不適格となった理由が接道条件を満たさないことであった場合、解体後の再建築ができません。
今ある既存不適格物件の多くは、この接道条件を満たしていないことが多く、注意が必要です。
また、既存不適格物件にはさまざまな制限があるため、売りに出しても買い手が付きにくいといったデメリットもあるでしょう。
参考:いえーる住宅研究所
既存不適格物件は違反建築物でないことから、原則として住宅ローンを受けることは可能です
しかし、現行の法令と照らし合わせて複数の事項が要件を満たしていない場合、金融機関によっては住宅ローンが受けられない恐れがあります。
また、住宅ローンが受けられたとしても貸出限度額や長期返済期間に制限を設けている金融機関もあるでしょう。
そのため、住宅ローンを利用して既存不適格物件を購入しようと考えている場合には前もって確認しておくことが大切です。
今回は既存不適格物件の概要と、そのメリット・デメリットについて解説しました。
既存不適格物件は価格が安いといったメリットがある一方で、現行の接道義務に違反している場合には再建築が認められないことに加え、住宅ローンの審査に通りにくいといったデメリットがあります。
そのため、既存不適格物件を購入する場合はどういった点で既存不適格とみなされたのか確認しておくことに加え、住宅ローンを借りることはできるのか金融機関に問い合わせておくようにしましょう。
また、いずれ売却を考えている場合には既存不適格であることを理由に価格が下がっている場合や条件によっては上がっている(容積率オーバーなど)ことがあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。
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