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2020年に民法改正 中古マンション購入時に注意するべき「契約不適合責任」とは?

豆知識

2020.05.19

更新日:2020年5月19日(あんしんパートナーズ法律事務所 平沼健太弁護士による監修を追加) 2020年4月、中古マンション購入に大きく関係する民法改正があったことをご存知でしょうか?この民法改正により買主が有利になったといわれています。どのような改正がおこなわれたのか。また、買主にとってどのような利点が発生するのか。少しむずかしい法律の話をわかりやすくまとめました。中古マンションの購入を検討されている方、中古マンションの購入に対して不安を感じていらっしゃる方に読んでいただければと思います。

2020年4月1日の民法改正

2020年4月1日、「債権法」といわれる売買契約や不法行為に関する規定が大幅に見直されました。じつに120年ぶりの民法改正ということになります。 この法改正により、売買契約における「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」という概念に代わって「契約不適合責任」という概念が導入されました。 中古マンションの購入を検討している人に大きく関係する法律なので、チェックしておきましょう。

これまでの「瑕疵担保責任」とは?

瑕疵(かし)は欠陥という意味です。瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、商品に何らかの瑕疵(欠陥・キズ・トラブルなど)があった場合、売主がその責任を取らなければいけないという規定のことです。 この規定の存在により、売買された不動産などに普通は発見できないような瑕疵が存在していた場合は、売主が損害賠償の責任を負い、瑕疵の程度が大きく契約をした目的が達成できないと判断されたときは契約の解除をすることができました。 また、買主から売主に対する瑕疵担保責任の追及については、特約がない限り引き渡しから10年で時効により権利が消滅し、瑕疵発見後は1年以内に請求しなければいけないとされ、その間であれば売主は、故意・過失に関係なく損害賠償等の責任を負う必要がありました。

瑕疵の種類

瑕疵には次のようなものがあります。不動産売買における瑕疵の例をみていきましょう。 ・物理的瑕疵:配管の水漏れや土壌汚染など、建物に対する物理的な欠陥 ・法律的瑕疵:建物の建ぺい率に違反しているなど、法的な制限によって自由に使えない欠陥 ・心理的瑕疵:過去に自殺や殺人、事故などがあり住み心地に影響する場合など ・環境的瑕疵:近隣からの騒音や異臭、日照障害など、安心して暮らすことができない環境など

実際にあるこんなトラブル

瑕疵担保責任に関するトラブルは意外にも多く報告されています。例えば、以下のようなことも珍しくはありません。 ・住宅の天井裏から雨漏りが発生した ・じつは騒音トラブルが頻繁に発生している地域だった ・以前の住人が孤独死し、遺体が腐敗していた ・土砂災害警戒区域内であることを知らされていなかった マンション購入は人生において非常に大きな買い物です。だからこそ、できる限りトラブルは未然に防ぎたいものですよね。

買主からみた瑕疵担保責任の落とし穴

以前まで適用されていた瑕疵担保責任ですが、多くの判例や法律の解釈によって「任意規定」とされていました。つまり強制力がないため、契約内容によって売主側が瑕疵担保責任を制限することが可能だったのです。 上記でも説明したとおり、本来であれば瑕疵担保責任は10年間は時効により消滅しないものとされていましたが、中古マンションや住宅の売買においては、多くの場合、引渡日から3ヵ月程度に契約上制限されています。また、なかには「売主の瑕疵担保責任なし」という、瑕疵担保責任を全く負わないとするような契約もありました。 以上のように、売主は瑕疵担保責任の有効期間や責任の有無を自由に設定することができていたため(ただし、最終的には買主が同意した場合に限ります。)、買主が不利な状況に立たされるというケースが実際に存在していました。 新築住宅の場合は、2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、一定の場合に瑕疵担保責任の期間を10年間以上とすることが定められていることと、売主である大手ハウスメーカーやディベロッパーが個別で検査や保証などを加えていることもあり、中古住宅のようなトラブルが起こりにくいとされています。 たとえ中古住宅は新築住宅に比べて安価であるとしても、保証や安全性に大きな差があれば、消費者が中古マンションにネガティブな印象を寄せるのは致し方ないと考えざるを得ませんでした。

新しい「契約不適合責任」とは?

買主にとって不安要素が多かった「瑕疵担保責任」。それに代わって、2020年4月に「契約不適合責任」が導入されたわけですが、具体的にどんな変化があるのでしょうか?

民法改正により契約責任へ

改正前民法の瑕疵担保責任の性質については、「法定責任説」と「契約責任説(債務不履行責任)」の2つの見解がありました。 法定責任説とは、特定物(不動産)の売買において、売主は目的物を引き渡すことが役割であり、民法上の瑕疵担保責任は債務不履行責任とは別に法律がとくに認めたものであるとする考えです。 一方、契約責任説(債務不履行責任)とは、売主は瑕疵のない目的物(不動産)を引き渡す義務を担っており、民法上の瑕疵担保責任は目的物に瑕疵がある場合の債務不履行責任であるという考えです。 改正前民法では、前者の法定責任説が有力といわれていましたが、改正民法は、契約不適合責任は契約責任(債務不履行責任)であることを明らかにしました。 また、改正前民法では、瑕疵担保責任の対象物は特定物に限るとされていましたが、改正民法では、特定物・不特定物を問わず契約不適合責任の対象とされることになりました。 さらに、改正前民法の瑕疵担保責任における瑕疵とは、「隠れた」(買主が取引上必要な普通の注意をしても発見できないことをいいます。)瑕疵に限定されていましたが、改正民法の契約不適合責任においては、「隠れた」の要件は不要とされました。 加えて、改正前民法では、瑕疵担保責任の対象となる瑕疵は、原始的瑕疵(契約締結時までに生じた瑕疵)に限るとされていましたが、改正民法では、契約の履行時までに生じたものであれば契約不適合責任を負うことになりました。

買主がとれる手段

改正前民法では、瑕疵担保責任の責任追及の方法として買主がとれる手段は、「契約解除」と「損害賠償」に限られていました。それが改正民法での契約不適合責任では、「追完請求」と「代金減額請求」もできるようになりました。

追完請求:

売買契約の履行において、引き渡された目的物の種類・品質・数量が契約内容に適合しない場合、買主が売主に対して、目的物の補修や代替物の引き渡し、不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができるようになりました。

代金減額請求:

相当の期間を定めて履行の追完を催告しても、この期間内に履行の追完がされなかった場合に、買主はその不適合の程度に応じて代金の減額請求をすることができるようになりました。ただし、改正民法563条2項各号に該当する場合には履行の追完の催告は不要です。 ※改正民法563条2項※ (買主の代金減額請求権) … 2.前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。 一 履行の追完が不能であるとき。 二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。 三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。 四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

契約解除:

契約解除をおこなうためには、原則として履行の追完の催告が必要です。また、改正前民法の瑕疵担保責任においては、「契約をした目的を達することができない場合」に限り契約解除が可能でしたが、改正民法の契約不適合責任では、「契約目的達成はできるが、不履行が軽微でない場合」も契約を解除できるようになりました。

損害賠償:

損害賠償には、売主の帰責事由(売主に故意または過失があること)が必要となります。また、改正前民法の瑕疵担保責任では、損害賠償の範囲が信頼利益までとされていましたが、改正民法の契約不適合責任では、履行利益まで含まれるようになりました。 <信頼利益> 瑕疵を知らなかったことにより買主が被った損害のこと。 <履行利益> 契約が履行されていれば、その利用や転売などにより発生したであろう利益のこと。

権利行使の期間

改正前民法においては、買主が事実を知ってから1年以内に瑕疵担保責任に基づく権利(損害賠償請求権や契約解除権)を「行使」しなければいけませんでした。 これに対し、改正民法では、種類・品質に関する契約不適合に関しては、買主が契約不適合を知った日から1年以内に「通知(不適合の内容を把握することが可能な程度の通知)」をすればいいということになりました(ただし、買主が契約不適合を知った日から5年間又は引き渡しから10年間、具体的な請求を行わない場合には、その権利は改正民法166条1項の消滅時効によって消滅してしまいます)。 また、数量や移転した権利に関することについては、期間制限が設けられていません(ただし、上記と同様に改正民法166条1項の消滅時効はあります)。 なお、売主が引渡し時に契約不適合を知っていた場合や重過失によりこれを知らなかった場合には、1年間の期間制限は適用されません。

民法改正により買主有利になるのか?

これまでお伝えしたように、民法改正により瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わりました。その結果、不動産売買で制限されてきた買主の権利が広がり、売主の責任が及ぶ範囲も広く・重くなりました。 ただし、必ずしも買主有利になるわけではありません。なぜなら、民法改正後も契約不適合責任が任意規定であることに変わりはなく、売主が契約上制限することは可能だからです。つまり、買主の同意があれば、契約不適合責任の一部または全部を免責することもできるのです。 しかし、これまでの瑕疵担保責任は買主がとれる手段が損害賠償や契約解除に限られており、実質泣き寝入りするケースも少なくなかったのに対し、民法改正により、追完請求や代金減額請求が加わり、損害賠償請求の対象も広がりました。これにより、買主がとれる手段が増え、何等かの契約不適合が見つかった場合、買主が売主に対して対抗処置を取りやすくなったといえるでしょう。 いずれにしても、中古マンションの購入を検討している方は、契約締結前に契約書をしっかり確認する必要があります。契約書の容認事項欄に、物件の状況や近隣環境に関する記載などがないか確認しましょう。

民法改正後の中古マンション購入時のポイント

中古マンション購入における不安要素が減ったとはいえ、より安全な売買契約をするためにも注意すべきポイントがあります。中古マンション購入時に気をつけたい3点をご紹介します。

1.適切な不動産会社を選ぶ

改正後の民法をしっかり把握している不動産会社を選ぶことが重要です。120年ぶりの民法改正であり、不動産業界にも大きな影響を与えることから、各不動産会社では民法改正に関する研修などがおこなわれています。そのため、きちんとした会社であれば契約不適合責任に関する知識が備わっており、買主に対しても責任ある対応をしてくれるはずです。 一方、改正内容を十分に把握していない不動産会社の場合、契約書の内容が甘かったり、契約に関する説明が不十分だったりと取引に不安が残ります。 民法改正された今だからこそ、信頼できる不動産会社を選定することが重要なのです。

2.契約不適合責任の免責内容を確認する

中古マンション購入時には、契約書に記載されている免責事項を確認しましょう。改正前民法の瑕疵担保責任では、「全部免責」という免責方法がありました。その名のとおり、瑕疵担保責任を一切負わないという免責方法です。 これが今回の民法改正により、広く契約内容に適合しない場合を契約不適合責任とするとされたことにより、今後、免責項目については、具体的な明示が行われるようになると思われます。 例えば、建ぺい率をクリアしない古い物件を売買する場合、「建ぺい率を満たさないことについて一切の責任を負わない」といった記載がされることでしょう。。 免責項目がある場合、契約書に記載があるはずなので、ひとつずつ確認し整理しておきましょう。

3.契約書の特約・容認事項を確認する

売買契約書には、定型的な条文以外に物件の特約や容認事項が記載されている欄があるのが一般的です。 契約不適合責任は、目的物が契約の内容に適合していない場合に問題になります。そのため、売買契約書に何が書かれているのかが契約の内容を判断する上で非常に重要になりますので、契約締結の前に特約・容認事項をしっかり確認しておきましょう。その内容を知っているかどうかで、後々のトラブルを防ぐことができます。

まとめ

2020年4月の民法改正により「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に代わりました。 最後にそれぞれの違いをおさらいしておきましょう。 契約不適合責任はあくまでも任意規定であるため、契約内容によっては制限がかかる場合もあります。それでも以前の瑕疵担保責任より買主を保護する内容になったことは間違いありません。 中古マンションの購入を検討している方は、最低限の知識をもったうえで、スムーズな契約を進めましょう! 東京の高級中古/リノベーションマンション一覧はこちら 現在のお住まいのマンション売却をご検討の方はこちら

記事の監修

あんしんパートナーズ法律事務所 弁護士 平沼 健太

第二東京弁護士会所属 弁護士登録後、都内法律事務所にて勤務し、 現在は、あんしんパートナーズ法律事務所に所属。 借地・借家等の不動産紛争、遺言・相続案件を中心に、広く企業法務、一般民事事件を取り扱う。 主な取扱業務は、企業法務全般及び不動産・相続案件を中心とした一般民事事件全般。

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