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築30年マンションは後悔しない?中古マンションのおすすめの築年数と選び方
2020.05.27
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2023.01.04
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”東京都心6区の中古マンションが1億円の大台に”そして”首都圏新築マンション、価格がバブル期を超える”
東京カンテイが2022年12月22日にまとめた2022年11月の東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の中古マンションの平均売出価格(70㎡)は1憶13万円と、14か月連続で上昇し、2022年の集計開始後、初めて1億円の大台になりました。
また不動産経済研究所が発表した2022年10月の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の新築マンションの平均価格は6787万円と、依然として過去最高値圏が継続しています。
また中古マンション価格についても、2022年11月の首都圏中古マンション価格は4807万円となり、2021年5月以降の連続上昇は一服したものの、高値圏で推移しています。
2022年11月の東京23区の中古マンション価格も同様に、連続上昇は28か月間でストップしたものの、6945万円と高値水準になっています。
この情報だけ見ると、マンションの価格は「高すぎて買えない」と感じ、購入に二の足を踏んでしまいます。
一方でロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、世界的なインフレ、そして世界経済の停滞懸念等、今後のマンション価格に影響を与えると思われる流れも起きています。
東京のマンション価格は、本当に”高すぎて買えない”のでしょうか?
また、2023年以降のマンション価格は、今後どうなっていくのでしょうか?
この記事では、東京都心に対象を絞りマンションの価格が下がらない理由を検証します。
前述の通り、マンション価格だけを見るとバブルを超え、『マンション価格は高すぎて買えない』と思うかもしれません。実際に日本人の給与は過去30年において、ほとんど上がっていません。
国税庁のHPによると1990年(平成2年)の平均給与は425万円でしたが、2021年(令和3年)の平均給与は433万円となっています。
(出典:国税庁企画課「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」)
また2022年6月15日付、東京新聞の「上がらない賃金「日本だけが異常」 求められる政策の検証<参院選・くらしの現在地①>」によると、1995年から2020年まで、日本の物価は1.04倍に上昇しているのに対して名目賃金は0.96倍になっています。
こういった観点からも、バブル期を超えるマンション価格は高すぎる価格で、「マンション価格は高すぎて買えない」と思う方も多いかもしれません。
しかし「住宅ローン金利」という観点からは、実際にはそうではないと考えます。
しかし、”住宅ローン金利”という観点から考えると、この「マンション価格は高すぎて買えない」ということが、必ずしもそうではないことがわかります。
「マンション価格「バブル超え」立役者は低金利?(2022年10月15日日本経済新聞)」によると、バブル期(1990年)と2022年の金利とマンション価格には、驚くべき違いがあります。
具体的には、金利を
とすると、1億円(元利均等返済/期間35年)のマンションを購入した場合、
と、毎月の返済金額が約40万円異なるという結果になります。
この記事では「今の金利で「億ション」を買える人も、高金利のバブル期には4000万円台の物件にしか手が出なかったとも考えられる」と記載しています。
(出所:2022年10月15日日本経済新聞「マンション価格「バブル超え」 立役者は低金利?」)
一般的には住宅ローンを組んでマンションを購入すると考えた場合、「購入できるマンション価格≒住宅ローンの借入限度額」となります(マンション価格と住宅ローン借入限度額は相関します)。
一般的には、月々の返済可能金額と住宅ローン金利から、借入限度額が計算されるため、同じ年収と同じ返済金額でも、金利が異なれば、購入できる物件の価格が異なります。
<月々の返済額が25万円/期間35年/元利均等返済のケース>
月々の返済額を25万円(期間35年/元利均等返済)の場合、
となります。
「マンション価格がバブル期超え」という金額だけをみて「マンションが高すぎて買えない」と判断するのは早計であり、金利水準と併せて判断しないと本質を見誤ります。
以下ではより具体的に、数字を見ていきましょう。
まず年収による借入可能金額の違いを見ていきましょう。
金利が5.5%から1.1%に下がる場合、借入可能金額や総返済金額は1.87倍になることがわかります。
年収による借入可能金額の違い① 年収500万円の人
年収500万円の人は、金利が5.5%の時と、1.1%の時では、どれくらい借入可能金額が異なるのでしょうか?
年収による借入可能金額の違い② 年収800万円の人
年収800万円の人は、金利が5.5%の時と、1.1%の時では、どれくらい借入可能金額が異なるのでしょうか?
まず5000万円のマンションを購入する場合、金利によって総返済額(35年間の総返済金額)がどれだけ変わるか見てみましょう。
まず5000万円のマンションを購入する場合、金利によって総返済額(35年間の総返済金額)がどれだけ変わるか見てみましょう。
このように金利の違いで、返済金額が約1.87倍も変わることがわかります。
住宅ローンを借りマンションを購入する人にとって、同じ年収でも低金利により大幅に借入可能金額が増えているため、マンション価格のみで「マンション価格はバブル期を超えるため、高すぎて買えない」ということは必ずしも言えないと考えます。
上記により「東京のマンション価格は高すぎて買えない」ということではないことがわかりますが、以下では、国際情勢、特にウクライナ侵攻や世界的なインフレが東京のマンション価格に与える影響や、今後都心のマンション価格が下がるかについて検証します。
2022年の景気に大きな影響を与えている大きな要因の一つが、ロシアによるウクライナへの侵攻でしょう。
このウクライナ侵攻の一番問題点は、世界的なインフレに拍車をかけているという点です。
ウクライナ侵攻により、天然ガス等のロシアの生産シェアの大きな品目が急騰しています。
世界各国ではコロナ危機による経済の停滞状態から抜け出しつつあり、需要が急激に回復してきています。一方で、供給が需要に追い付かないため、物価が上がるという需給ギャップによるインフレが起きているのが現状です。
加えて欧米がロシアへの経済制裁を強化したことで、天然ガスや原油のエネルギー価格が上がり、各種生産物の原価があがり、インフレを加速させています。そして小麦などのロシアに依存する資源・農産物の価格が上昇することでも、インフレを加速させています。
このような状況の中、インフレをおさえるための施策として、FRBアメリカ連邦準備理事会は利上げを行いました。
2022年は40年ぶりの急激な金利上昇の年となりましたが、インフレをうけ、世界の中央銀行が利上げを行い、平均国債利回りは2.4%上昇と、1985年以降で最大の上昇幅となりました。
FRBが利上げを行った結果、日米の金利差が大きくなり、2022年後半は円安が加速しました。
何故円安になると、何故東京都心のマンション価格に影響を与えるのか?という点ですが、まず第一に米ドルで収入を得ている人や米ドルで資産を保有する人が、より割安に東京都心のマンションを購入することができます。
為替が1ドル130円の時と1ドル110円の時では、例えば1億円のマンションを購入する際にも必要な米ドルの額が異なります。
1ドル110円の時に1億円のマンションを購入するには、約90万9091ドルが必要です。しかし1ドル130円の時に1億円のマンションを購入するには、76万9231ドルしか必要になりません(物件購入等に伴う諸経費は含んでいません)。1ドル130円の時では、1ドル110円の時に比べて、ドル換算で84.6%の金額で購入することができることになります。
2022年10月21日には”1ドル=151円台”と1990年以来32年ぶりのドル高・円安水準になりました。
2022年12月20日の日銀による”事実上の利上げ”により2023年1月3日時点では、一時129円台をつけましたが、ドルベースの人にとってはより大きなメリットがでることになります。
結果として、米ドルで収入を得ている人(日本人も外国人も)にとって、海外と比較して割安な東京都心のマンション購入が増える可能性が高くなります。
上記をまとめると、『ウクライナ侵攻→ロシアへの経済制裁→インフレの加速→FRBによる金利引き上げ→日米金利差拡大→円安→米ドルベースの購入者増加→都心のマンション価格高騰』という流れになり、ウクライナ侵攻が東京都心のマンション価格へ影響を与えていることがわかります。
欧米の利上げによる円安の加速により、2022年12月に日銀は実質的な利上げに踏み切りました。
現時点では、マンション価格への影響は出ていません。これは住宅ローンの固定金利のみが上昇し、多くの人が利用する変動金利への影響はまだ出ていないためです。
2023年4月に黒田日銀総裁が任期満了となり、次期総裁へとバトンタッチすることが見込まれていますが、金融政策次第ではマンション価格への大きな影響があります。
もし金融緩和・低金利政策を維持する場合は円安要因となり、外国人にとってはこの円安により割安に東京都心のマンションを購入することができる、ということになります。
しかしもし金融緩和政策を縮小し、変動金利が上昇するようになると、マンション価格が下がる要因となります。
東京都心のマンションについては上記の通り、ウクライナ侵攻や日銀の金政策による影響が大きいことがわかります。
「上がった価格は下がるはず」と考えている人も多いかもしれません。
しかし2023年については、東京都心のマンション価格は下がらないと考えます。
過去10年間においてマンション価格は上がり続けましたが、これは決して経済が好調だったから上がったわけではありません。日本人の年収が伸びない中、日銀の金融政策により低金利が続いたため、住宅ローンの借入可能金額が大きくなり、マンションを購入ができたという点が、大きな要因として考えられます。
このまま低金利が継続すれば、特に東京都心のマンション価格が下がっていくという事は考えづらいと言えます。
逆に言えば、金融政策が転換し、日銀が利上げをする時こそ、マンション価格上昇が下がっていく転換点となる可能性が高いと考えます。
それではいつ日銀が利上げし、東京都心のマンション価格が下げ基調へと変化するのか、いくつかのシナリオを見ていきましょう。
ではマンション価格の今後のシナリオをいくつか検証してみましょう。
まず、東京都心のマンション価格が今後も下がらないシナリオを見ていきましょう。基本的には特に東京都心のマンション価格については、今後も下がらない可能性が高いと考えています。
一つ目のシナリオは、ウクライナ侵攻が長引き、日本の景気が回復しないシナリオです。
ウクライナ侵攻によりインフレが加速していることは前述の通りですが、日本の物価も上昇基調にあります。日本の家計が値上げを受け入れたものの、企業の値上げ幅をインフレが上回り、企業業績が回復せず、賃金が上がらない場合は、日銀は利上げをできないと考えます。
利上げができない場合、円安基調は続きますし、また低金利により借入可能金額は依然として高い水準となります。こうなった場合は、東京都心のマンション価格が今後下がるという理由がないため、マンション価格は今後も下がらず、現状のトレンドを維持するものと考えられます。
二つ目のシナリオは、ウクライナ侵攻が早期に解決した場合です。戦争終結によりエネルギーコスト上昇等のインフレ圧力が緩和され、世界的なインフレが落ち着く事が考えられます。
インフレが落ち着いた結果、日本国内では値上げのタイミングを逸し、その結果として経済回復から賃上げへのストーリーがなくなってしまう可能性があります。
もし戦争が早期に解決したとしても、経済回復から値上げへの流れにならない場合、日銀が金利を引き上げることは難しいと考えます。このようなケースにおいては、金融政策が維持されるため、従来通り東京都心のマンション価格が今後下がるということにはなりづらいと考えます。
ではマンション価格が今後下がるケースはどのようなものがあるでしょうか?
現状、特に東京都心のマンション価格が下がるケースは非常に考えづらいですが、あり得るとしたら例えば以下のケースではないでしょうか。
インフレが続く中、日本経済は回復せず賃金は上がらないものの、為替が円安をつけてしまい、日銀が金融政策を転換するというケースです。
この場合、賃金が上がっていない中、金利を上げるため、借入可能金額は減少します。また為替についても、金利差が減るため、円安から円高へと変化していきます。
そして日経平均株価についても、下がっていくことが予想されます。
こういった場合、景気の減速や株価の下落と歩調を合わせ、東京都心のマンションにおいても、価格が下がっていくシナリオが考えられます。
最後に、良い意味でマンション価格が上がるケースを見ていきましょう。
良いストーリーとしては、値上げにより物価が上昇し、企業業績が回復→賃金上昇というシナリオです。
日銀が金利を上げたとしても、その効果を上回る賃金上昇が起きれば、マンション価格は上がると思われます。このためには企業業績が好転することが必須条件ですが、日本企業が成長することにより、その中心地である東京の価値は上昇し、結果として都心のマンション価格も上昇していくことになります。
ウクライナ侵攻や世界的なインフレと、コロナ以外にも様々な試練が経済を襲っています。
しかし東京都心のマンション価格については、今後下がっていくということは考えづらいのではないでしょうか。
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もし東京都心のマンション購入を検討されていたら、是非ご相談ください。
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